大好きの本音と
………はあ。
「……彼はいつの間にかいなくなりました。私は───」
ほんと、先生には叶わない。
少し苦しくなった呼吸。締め付ける心臓。
小さく視線を落としたあたしは、そっとため息をついた。
*
「今日は一段とツンだったね、舞ちゃんっ」
昼休みのベランダ。
ちょうど日陰になったそこで、座ってお弁当を食べるあたしの横。
ゆるくウェーブのかかった長い髪の小春は、タコさんウインナーをフォークで突き刺しながら言った。
「あたしツンじゃない」
ぱっつん前髪のよく似合う、まさに春みたいな子。1年中春みたいにほわほわしてる。
入学してから何故か仲良くなったけど、何に対しても真逆なあたし達。
メイクしていないのにくるっと長い睫毛を見つめて、少し羨ましくなる。
あたしなんて、目は細いし睫毛短いし。