大好きの本音と



………はあ。


「……彼はいつの間にかいなくなりました。私は───」


ほんと、先生には叶わない。

少し苦しくなった呼吸。締め付ける心臓。

小さく視線を落としたあたしは、そっとため息をついた。







「今日は一段とツンだったね、舞ちゃんっ」


昼休みのベランダ。

ちょうど日陰になったそこで、座ってお弁当を食べるあたしの横。

ゆるくウェーブのかかった長い髪の小春は、タコさんウインナーをフォークで突き刺しながら言った。


「あたしツンじゃない」


ぱっつん前髪のよく似合う、まさに春みたいな子。1年中春みたいにほわほわしてる。

入学してから何故か仲良くなったけど、何に対しても真逆なあたし達。

メイクしていないのにくるっと長い睫毛を見つめて、少し羨ましくなる。

あたしなんて、目は細いし睫毛短いし。



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