大好きの本音と



でも、小春は目を見開いてきょとんとしてから、すぐにいつもの表情に戻って笑った。


「舞ちゃんなら絶対大丈夫!あたしも応援するからっ」

「……う、ん」


戸惑いながらも、頷いたあたし。

想いを伝えてみようとか、頑張ってみようとか。

こんな気持ちになるなんて。

……あたし、相当重症だ。

それも、あんな先生のために。

きっと今晩、雪降るよこれは。



最後に残ったにんじん。
口に運んで、顔をしかめた。


「…まずい」


……あぁあ。本当にあたし、どうしちゃったんだろう。

ぼんやり考えながら思う。


大嫌いなにんじんを残してたのがいけなかったんだ。

いつの間にか飲み干していたお茶。

口の中が死ぬほど嫌いなにんじんの風味でいっぱいになる。


「吐き気する…」

「えっ!ま、舞ちゃん!?」



その日の昼休み、あたしは本気で死にかけた。

あんなの食べ物じゃない。

にんじんなんて大嫌いだ。



< 8 / 9 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop