青春音楽
「着任式はまだですが、今日は吹奏楽部の練習があると聞いたので、早めにみんなに会っておきたいと思って来ました。
これからよろしくね」
たった5人のぱらぱらとした拍手が鳴る。
「ところで…部員はこれだけなの?森山先生からあまり話を聞いてないのよ」
「…あ〜…あの〜部員はほんまは20人くらいいるんですけど…今日は自主連やから来てる人少ないんです」
麻里が言った。
「…そう……じゃ今日来てるのは…5人だけなのね?」
「はい。……あ、いや、もう一人来てます」
「その子は?」
「外で練習してます」
「じゃあ呼んできてくれる?」
「……私がですか…?」
麻里……あからさまに嫌そうな顔し過ぎやで…
「そうよ。お願いね」
「……はい」
渋々音楽室から出て行く麻里を目で追った。
-