青春音楽





「失礼しまーす」



職員室の戸を開けてから、ノックをしてないことに気付いた。



「こら、ノックせなあかんやろ」



英語の宮下先生だ。



生徒に対して以上に態度がでかいので、先生を嫌ってる生徒は多い。



「分かってますって。
……あれ?」



職員室を入ってすぐ右に、各部の出欠表が置いてある棚がある。



そこに吹奏楽部のもあるはずなのだが、ない。



一昨日クラブに来たときは、確かにここに戻した。



私以外この出欠表を持ち出す人はいないはずだ。



「どうしたん?」



「あっ!」



国語科の山田先生だ。


先生は中学から高校にかけて吹奏楽部に入部していたらしい。



「先生!今日来てたんや!」



「あら、来たらあかんかった?」



「ううん。全然!」



山田先生は、この学校の生徒のお母さん的な存在だ。


生徒思いの優しい先生なので、先生に悩みを相談したりする者は多く、私もそのひとりだ。



「出欠表探してんの?」



「はい…けど見当たらんくて」



「それやったら先生が持ってかはったよ」



「…………え!?」



先生が……?



「それ…ほんまですか?」



「当たり前でしょ。なんで嘘つかんと駄目なん」



………えええーーー!!!



「信じられん…」



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