青春音楽
階段を登るのはしんどいので走るなんてことはめったにしないが、今はわけが違う。
森やんに……何が起きた!?
そういや昨日も珍しく音楽室まで来てたし……
なんか機嫌良いんかな?
森やんが機嫌良くなることって何やろ…
……競馬当たったとか?
パチンコで大儲け?
………まさか、結婚……!?
考えててもきりがない。
「…しんど…」
文化部に運動不足はつき物だ。
一階にある職員室から四階まで駆け上がるのは相当辛い。
「は〜着いた…」
息が上がる。
こういう時に、何で普段から運動しとかないのかとつくづく思う。
階段を上った勢いで音楽室までも急ぐ。
そして勢いよく音楽室の扉を開けた。
「森や…」
「私はやるからには金賞目指します」
……ん?
聞き覚えのないが耳に入った。
そしていつもと違う空気が流れていた。
「ちょ…千夏…」
麻里が怪訝な顔を私に向けた。
「吹奏楽部の部員ですか?」
その声の主は、見覚えのない女性だった。
「…………誰…?」
それが先生との出会いだった―――――
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