春夜姫
お城に戻った王様とお后様は、満月の夜、魔女に言われた通りにしました。すると暖かい春の夜に女の子を授かりました。王様とお后様はとても喜び、この子を春夜姫と呼んで可愛がりました。
春夜姫は神様から優しい心を、妖精達から美しさを与えられ、誰からも愛されてすくすくと育ちました。
そして春夜姫が十歳になる日。王様とお后様は、魔女のもとへと春夜姫を送り出しました。
大きな古い木はお日様の光を隠し、魔女の住む家の辺りは暗く、春だと言うのにうっすらと寒気を感じます。途中まで一緒に来た家来達はもういません。春夜姫は心を落ち着かせ、魔女の家の戸を叩きました。