春夜姫
昔むかし、声を奪われた北の国のお姫様と、鳥の姿に変えられた南の国の王子様がいました。二人が出会うお話はご存知ですね。では、その続きをお話しましょうか。
鳥の姿に変えられた南の国の王子――真夏の空のように美しい色の瞳を持っているので、私たちは夏空の王子と呼びましょう――は、雪の降る窓辺を見上げてそっとため息をつきました。
「どうなさったのですか」
声を奪われた北の国のお姫様――暖かい春の夜にお生まれになったので、春夜姫とお呼びします――は美しい声で尋ねます。部屋の中は暖炉が赤々と熱り、外の寒さを感じません。
「姫、僕はあなたに言わなければならないことがある」
「はい」
夏空の王子は、国を出た訳を話し始めました。
今は、二人の魔法が解けて三日目の夜です。二人はすぐに恋に落ちました。それに「姫の声を封じた小瓶を開けた者は、姫と結婚できる」というお触れがありましたので、結婚の準備に追われて、ゆっくりと夏空の旅の話をする時間がなかったのです。
鳥の姿に変えられた南の国の王子――真夏の空のように美しい色の瞳を持っているので、私たちは夏空の王子と呼びましょう――は、雪の降る窓辺を見上げてそっとため息をつきました。
「どうなさったのですか」
声を奪われた北の国のお姫様――暖かい春の夜にお生まれになったので、春夜姫とお呼びします――は美しい声で尋ねます。部屋の中は暖炉が赤々と熱り、外の寒さを感じません。
「姫、僕はあなたに言わなければならないことがある」
「はい」
夏空の王子は、国を出た訳を話し始めました。
今は、二人の魔法が解けて三日目の夜です。二人はすぐに恋に落ちました。それに「姫の声を封じた小瓶を開けた者は、姫と結婚できる」というお触れがありましたので、結婚の準備に追われて、ゆっくりと夏空の旅の話をする時間がなかったのです。