春夜姫
「私たちのおかげ?」
 その言葉に、クロがくうんと答えました。ご主人は夏空を見て、再びはっとしました。
「貴方が」
「クロさんがあの実から救い、ご主人が寒さから救って下さったおかげで命拾いをしました。あの青い鳥が、声を失ったお姫様のお役に立ちました。本当にありがとうございました」

 青い瞳を持つ南の国の王子様は、もっとも敬意を込めた礼を、小さな小屋で、狩人と黒犬に捧げました。


< 98 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop