~Snow White~『最終巻』
体中についた赤いあざを
風呂場で見ていた。


こんな姿で
智久のところになんていけるわけない。



腫れた唇


さっきまでの自分が
嘘のようだった。


智久に捧げるための体が
今は汚れたものに見えた・・・・・


シャワーを浴びながら
大声で泣いた。



夢じゃない・・・・・
この体の痛みと出血が


智久に捧げるためだけにあった
雪湖を遠ざけて行く・・・・・



バスタオルを巻いて
出ようとすると声が聞こえた。



「・・・・大丈夫・・・・雪湖は
ここからは出ないから
安心して・・・・・・うん、うん
あとは君が彼を追っていけばいいよ。
君のおかげだよ。
ありがとう・・・・雪湖を
失うところだったよ・・・・・
今井くん・・・・・」



 今井?

雪湖の心は凍りついた。
< 279 / 397 >

この作品をシェア

pagetop