~Snow White~『最終巻』
時間を少し過ぎた時


玄関を飛び出した。



「雪湖!?」


稔の声



雪が降ってきたけど
スウェットのまま飛び出した。

「トモ・・・・トモ・・・・」



何度も叫びながら
雪の中を走った。

線路の見えるところまで
雪湖はやってきた。


この時間の列車を
智久と一緒に行く日を夢みて
何度かこの時間にここに立っていた。


乗るはずだった列車が近づいてきた。

涙で何も見えなくなる。
ゴシゴシ拭いた。

「トモ~~~!!連れて行って
私の心も一緒にあなたと一緒に・・・」


ものすごいスピードで
消えて行く列車・・・・・
次の駅で・・・・雪湖は乗らない


智久はきっと
心配するだろう・・・・・。

泣きじゃくりながら

「これが私の運命なの?」
そうつぶやいた。


王子さまを待つ資格の
なくなった
汚れた白雪姫が・・・・
真っ白な雪の中で立ちつくしていた。


 いつか・・・
 いつか・・・

 また会えるよね・・・・


 その時は もっと強くなってる


そして堂々と智久の顔を見上げよう

そう誓うしか
生きて行く希望が見つからなかった。
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