~Snow White~『最終巻』
辞表を持って出かけた日


夕方 電話がかかってきた。


「どうだった?」

美春は一日中何も手につかないでいた。



「美春・・・・。
約束 守れそうにない……
ごめん……」



「え?何?何があったの?」



三原のこらえたような
嗚咽が聞こえてきた。



「バカみたいだよ……
結末はコレなんだから……」



「聡?何?」



「結婚できないよ。
美春を……犯罪者の妻にするわけには
いかないんだ。」



「犯罪?」



「罪をかぶる………
俺のご奉仕の最後はコレだって
バカだな……今まで何してきたんだか
社長のために
必死だったのに……
ごめんな……美春……
社長は恐ろしい人間だった……
雪湖ちゃんは吉沢のところには
行けなかったんだって………
どうしてだと思う?
…社長は……雪湖ちゃんを
力づくで自分のものにしたんだ……
そういう人間だったんだ………
ほしいものは
どんな手を使っても……
自分のものにする……
誰が傷つこうが
泣こうが関係ないんだ……
ごめんね……約束守らないで……」


一方的に電話が切れて
三原からの連絡は途絶えた。
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