~Snow White~『最終巻』
ここの春は遅い


札幌はもう自転車に乗れるだろう

昨夜から降り積もった
湿った雪をかいていると


「トモ・・・・」声がした。



驚いて振り向くと
竜平と夏絵が立っていた。


「リュウさん・・・
ねえさん・・・・・」



二人は優しく微笑んだ。


「こちらに泊めてもらえますか?」



「あ・・・はい・・・」



二人を部屋に案内した。



「海が荒れてるね・・・・。」
竜平がつぶやいた。


「帰らないよ・・・・」

次の言葉を言われる前に
智久が言った。



「帰ろう、トモ・・・」

夏絵の声に
首を振った。
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