~Snow White~『最終巻』
「雪湖を救いたい・・・・。
おまえしかいないんだ。」


「救う?」



「雪湖は自分と出会う前の
智久に戻してくれと・・・・
自分は行けないから・・・と・・・
雪湖のあきらめきった顔が
忘れられない
大槻は卑怯な男なのを
知っていたのに
俺は……雪湖を大槻の手中に渡してしまった。
智久・・・よく聞いてくれ
雪湖は……おまえとの
将来をあきらめさせるために
雪湖の母親と同じ目に合わされた。」




「同じ目って?」



「利香は血のつながりのない大槻に
犯されて 札幌に逃げてきたんだ。」



「え・・?」
智久の表情が歪んだ。
首をかしげて何を言いたいのか
アンテナをはっている。



「大槻の存在がある限り
幸せはこない・・・・・
魔の手が雪湖にも及ばないように
だから大槻を殺したと勘違いして
自殺したんだ。」




「それって・・・・?」



「トモ・・・・・
雪湖は大槻に犯された。
それが原因でおまえのところに
いけなかった。
諦めるしかなかったんだ。
今もその絶望の中に雪湖は生きている。」



智久はその場で崩れ落ちた。

「バカな・・・・・」

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