~Snow White~『最終巻』
いつもの言葉を聞き遂げた。

「利香・・・」


雪湖を母と思って抱く稔……。
いろんな愛の形があるけれど
稔は稔なりに深い愛情を利香に持っていた。


ねじ曲がってしまった
自分よがりの愛情は

母が自分を見なかったことへの
執着なのかもしれない。


 私を愛してるわけじゃないのに


雪湖にはもう
希望などなかった。



「稔さん・・・・」



「ん?」



「三原さんをどうするんですか?」



「なんだ?突然に・・・・」



「三原さん結婚するんですよ。」



「あっははは・・・・・
なんかそんなおもしろいこと言ってたな~」
大声で笑って

「イテ……」とどこかをおさえていた。



「何がおかしいの?」



「仕事も辞めさせてくれって……
バカ言うなって脱税を指示してたのは
アイツなんだから責任はとってもらうさ。」


稔の横顔が憎らしくなった。
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