~Snow White~『最終巻』
「そうなの。
おじさんがね、なんかおかしいよね。
自分でも恥ずかしかったんじゃない?
レジの人にいいわけしてて
『若い子に人気なんですね。
娘がほしがって、プレゼントするんです』
なんて言い訳してたけどね~」



伯父を想像して
美春と二人で笑った。


「あなたが風邪をひいて寝込むと
おかあさまはもちろん
病院に連れて行ったけど
寝込む雪湖の部屋に何度も何度も
行っては水枕とかかえにいってた。
一度のぞいたことがあったの。
おかあさまも辛かったんだと思う。
『ごめんね。雪湖』そう言って
雪湖の手を握っていた……
その時、みんな実はこの状況が
すごくつらいんだって救われたわ。」



「ごめんなさいでは
雪湖の孤独な日々には済まされないけど
少なくてもみんな
多かれ少なかれ辛かったのかも
知れないね・・・・・。
雪湖の両親ときっと
両親の間で何かがあったんだって
そう思ってきた。
そうしてみんなバランスをとってきたの。
ごめんなさい…雪湖……」


美春は涙をポロポロ流して
雪湖を抱きしめて
二人で泣いた。


雪湖の凍った18年が
暖かくなって溶けて行った。


みんながそれぞれ傷ついていた
18年間だった・・・・。
雪湖という少女をはさんで
いろんなことが見えてきた。
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