~Snow White~『最終巻』
社葬が営まれていた。


ライバル会社の竜平も
複雑な思いを抱きながら
参列していた。


遺影の稔は堂々と笑っている。



経営者の顔だった。


そして悪だった。


哀れな男だった。



この男がいなければ
自分の人生は全く違っただろう。



利香との距離を広げることなく
間違いなく
利香を妻にしてただろう


それが正解だったのかは
それはわからない


今の自分も充分に幸せだった。


夏絵を選んだ人生に悔いはない。

ただ大槻がいなければ
利香はもっと幸せだったに違いない


雪湖も・・・・


今 自分がすることは
ひとつだけだった。


父親として
雪湖を救うこと


それだけだった。
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