~Snow White~『最終巻』
「申し訳ございません。」



「あ、いえいえ全然いいんです。」



「トモさんにお願いしておかなきゃ…」
女将がポツリと言った。


「あ…トモ…智久さんは
元気で頑張ってますか?」

思わず口に出た。


女将は目を丸くしたが


「あなた・・・やっぱり・・・
雪湖さん?
宿帳に名前書いてもらったら
わかるかなって思ってたから……」



「名前知ってたんですか?」


「やっぱり~
色白で本当にトモさんの言ってた通り
キレイな娘さんだこと。」




「私のこと言ってたんですか?」



「ええ、主人と三人で食事する時
よく・・・本当は四人でするはず
だったのね~なんて言いながら
お嬢さんだったのね。
ま~ぁ トモさん待ってたのよ
『この夕日を一緒に見たい』って。
酔うと泣いたこともあったわ。
振られたと思ってたから
主人とこんないい男振っちゃうなんて
すごいわね~なんて話してたの。
振ったんじゃ…?ないのね~」


女将は優しく微笑んだ。
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