~Snow White~『最終巻』
智久はあの日の
華とのことを自分の口で語り始めた。


雪湖は初めて聞く告白に
胸が痛くなった。


「その話知らなかった。」
雪湖はポツリと言った。


「え?」



「華さんのこと・・・・・
大槻から何も聞いてない・・・。」


「だって雪湖がそれを知って
ショックで来れないって
大槻が言ってたから・・・・。
俺は後めたさに
雪湖のところに行けなくなった。」


雪湖は首を振った。



「ちがうよ・・・・。
私はあの日・・・・家を出ようよした時
大槻に見つかって
力ずくで・・・・・・。
抵抗したら殴られて……怖くて……
そして………」


雪湖は肩を震わせた。



「もう・・・・言うな。
ごめん、思い出させて・・・・。」



智久は雪湖を抱きしめた。



「忘れよう・・・・・。
もう忘れよう・・・・。
俺が忘れさせるから・・・
俺を信じてほしい。」


雪湖は智久も胸の中で
大声で泣いた。
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