星をはりつけて
ある時、重い体を引きずり外に出た王は、仰ぎ見た視界全てに星が光っているのを見ました。
冷たい夜風がヒヤリと弱々しい体を優しく撫でていき、頭の鈍痛が和らいだ気がする…
それから毎日のように城の最上階からベランダに椅子を引き摺っては夜空を見上げるのが日課になりました。
この国では誰が言ったのか『星は不吉』なものでしたが、老いた王にはその星さえ失われかけた光になり心から欲する輝きでした。
血管の浮き出た棒のような手
肉は無くなり、よれた皮が皺になった
小刻みに震える体は昔のように熱を持たない
暗い夜空にただただ手を伸ばし、掌を開いたり閉じたり……
光はすぐそこにあるのに決して届かない。
老人の濁った眼は灯火のようにユラユラ揺らいで、冷たい夜風に腕を晒すだけでした。