星をはりつけて
布団の膨らみから枕元に目をやると魔女は顔を覗きこみました。
震えた二本の掌に爪を自ら食い込ませ、浮き出た血管はその色を青黒く脈打っています。
袖から見える手首は骨がコツコツと筋を見せていました。
もう終わりか…
魔女はベッドに腰を下ろし体をひねって王に向きました。
「王よ、食事は食べましたか」
食べていないことなどわかっていました。
「王よ、城の者たちが姿が見えないと騒いでいますよ」
白く長い王の髪に触れ、額に指をつけます。
「あなたは眩しくはないですか?」
そのまま指を滑らせ見開いた両の目を閉ざしました。
布越しでもギラギラと光が侵入し、天蓋の中に七色の光が波を作っていました。
王の眼は中心の黒い瞳孔を残して白くなり、いつも何かを見据えるものになっていました。
目を閉ざしても、開けていても、夢を見ているのか、その白い口にはうめき声と呼ばれる苦痛しか聞こえませんでした。