星をはりつけて
その日、王が灰人になる何日か前の日のこと。
いつものように自室から抜け出ると、暗い廊下を一つのランプ片手に頼りながら進み、最上階のベランダがある部屋の扉へとたどり着きます。
誰も使うことがないその部屋は、ドアノブの金が剥げ落ちようとも誰も気にしない部屋でした。
ヒュッー。
と、開けられた隙間からぬうようにして冷たい空気が流れ込みました。
王は羽織ったローブを胸元にグッと掴みました。
カタカタカタカタ
揺れるベランダのガラス。
隙間風が笛を鳴らして悪いイタズラをしているようです。