ホストの貴方
――――――
――――――――
―――――――――――
ふと気が付くと、時計の針は、朝の8時を指していた。
「ヤバ、遅刻じゃん!」
私は飛び起きると、髪の毛を結んだままだったのに気が付いた。
「昨日、あのまま寝ちゃったんだ。…お兄ちゃーん!!」
私はバタバタと兄の部屋に向かって、走った。
そしてドアを思い切り開けた。
「ちょっと!なんで起こしてくれなかったのよ!」
すると、兄はいかにもダルそうな顔を私に向けて、舌打ちをした。
「っだからよー何回も起こしたんだけど、奈緒が起きなかったんだろ。そんなに言うなら自分で起きろよ。」
「だってぇー…。」
「さっさと風呂入ってこいよ。」
「…はぁーい。どっちにしろ今日は遅刻だから、学校に電話しといてね。」
「はいはい。」
兄は私の生活には欠かせない存在だ。
洗濯物、お弁当、朝、学校のこと。
普通なら母がやることを、うちでは兄が全てやっている。