ホストの貴方


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ふと気が付くと、時計の針は、朝の8時を指していた。

「ヤバ、遅刻じゃん!」

私は飛び起きると、髪の毛を結んだままだったのに気が付いた。

「昨日、あのまま寝ちゃったんだ。…お兄ちゃーん!!」

私はバタバタと兄の部屋に向かって、走った。

そしてドアを思い切り開けた。

「ちょっと!なんで起こしてくれなかったのよ!」

すると、兄はいかにもダルそうな顔を私に向けて、舌打ちをした。

「っだからよー何回も起こしたんだけど、奈緒が起きなかったんだろ。そんなに言うなら自分で起きろよ。」

「だってぇー…。」

「さっさと風呂入ってこいよ。」

「…はぁーい。どっちにしろ今日は遅刻だから、学校に電話しといてね。」

「はいはい。」

兄は私の生活には欠かせない存在だ。

洗濯物、お弁当、朝、学校のこと。

普通なら母がやることを、うちでは兄が全てやっている。


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