ホストの貴方
「ねぇ、あんた。」
「へ!?」
授業中、急に隣の不登校が話し掛けて来たから、私はつい間抜けな声を出してしまった。
「教科書。」
「え?」
「見してよ。」
「あ、はい。」
「見えない。」
「しょうがないじゃん、だって机と机の間に幅あるし。」
「何ソレ、じゃあくっつければいいじゃん。」
そう言って、ギーッと音を立てて机を動かした彼のせいで、周りのクラスメイトの視線が一気に私達に向けられた。
「み、みんな見てるけど…。」
私は小さな声で彼に呟くと、彼は、
「羨ましいんじゃん?」
と、無表情で言った。