ホストの貴方
「…香川奈緒!何見てんのさ!」
そこには、栗色の髪の毛を丁寧にくるくると巻き終えた、この学校で一番仲の良い桜木茜がムッスリとした表情をして、私を見ていた。
「いや…、雑誌読んでるだけ。」
「どれどれ~?」
「ホストでも、ヤリ目的だけでやってない人っているのかな?ほら…。」
そう言いながら、私はさっき読んでいたホストの特集ページを茜に見せた。
「こんなの嘘っぱちだよ、みんなヤリ目的に決まってるし、奈緒みたいなのがホストに利用されるんだからね。」
茜は真剣な表情をして、私の事を指差して、頬を膨らませた。
「…そ、そうだよね。」
「そうじゃなきゃ、みんなホストなんかやらないよ。」
「あはは、だよね。」
ホストはみんなチャラい。
別にヤってる所を見たワケじゃないけど、ホストはみんなチャラいんだ。
私はホストに対して、そんなイメージしか持つことが出来なかった。