ホストの貴方


「葵…。」

「俺等ホストが…。」

「え…?…ホスト…?」

「黙ってて悪かった。」

「葵…ホストなの?」

「悪い。」

「…全然大丈夫だよ。」

じゃあ、葵も女の人相手に体の関係とか持ってるのかな?

そう思うだけで胸が痛くなった。

「まじ最低だよな、ホストって。弱い女に対してこんなことしか出来ない…俺もホスト…奈緒を汚した奴とおんなじなんだよ。なのに…。」

「違う!葵はアイツ等なんかと全然違うよ!葵は私を助けてくれたもん!」

「奈緒。」

「葵は最低じゃないよ。」

「は…アホくせぇな。」

「な、なにアホって。」

その時、私は見てしまったんだ。

『風呂入れ。』と言って、洗面所を立ち去ろうとした葵の目から、頬にかけて涙が伝っていくのを。


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