ホストの貴方
お風呂で何回も何回も洗った。
綺麗に綺麗になるように。
だけど、首筋や胸元、太股につけられた小さなアザは、どんなにこすっても消えなかった。
お風呂を出ると、葵が洋服を用意してくれていて、私はそれを着た。
少し大きかったけれど、葵の匂いに包まれて、少し心臓の音が速くなった。
「出たのか。」
「洋服…ありがとう。」
「あぁ。」
なんだか、気まずい。
葵にあんなの見られちゃったし、
接し方がよくわからない。
「紅茶、飲む?」
「あ、うん。」
そう言うと、葵は台所に立った。
葵は気にしてないのだろうか。
やっぱり、女の裸なんて何回も見ているからだろうか。
「葵、彼女はいないの?」
「あぁ。」
「そっか。」
「なに急に。」
「なんとなく。」