ホストの貴方


葵は出来た紅茶を私の前に置いて、私の前のイスに腰掛けた。

今日会ったばかりなのに、

こんな展開ってアリなのだろうか。

「あんた、親に電話した?」

「あ、まだ。」

「しとけよ。」

「うん、後でメールしとく。」

「これ、俺のメアド。」

「え?」

「今日みたいなことがもう無いように。アイツ等は見つけ出して、俺がぶん殴っといてやるよ。」

「いいよ、そんなことしなくて。」

「俺の気が済まない。」

私がふと時計に目をやると、もうすっかり夜の九時を過ぎていた。

「もう九時過ぎてるんだね。」

「そうだな…寝るか?」

「え、あ…う、うん。」

私がそう言うと、葵は口元を緩めて、フッと笑った。

「ずいぶん早いんだな。」

「ま、ま…まぁね!」

「動揺し過ぎ。」

「俺、まだ寝ないから、あんた先に寝てていいよ。」

「わ、分かった。」

私は、紅茶を流しに置いて、部屋にあるベッドの上に上った。

「お、おやすみ。」

ちゃんと、葵も寝れるように、半分だけ間を開けて寝た。

「おやすみ。」

布団が葵の匂いいっぱいで、心臓がドキドキして寝るどころじゃなかった。


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