ホストの貴方


私は、葵がガツガツご飯を食べているところをずっと見つめた。

白い肌はいつ見ても綺麗で、昨日みたく髪の毛は盛っていなくて、なんだからへにゃんとしている。

そういえば、いつお風呂に入ったんだろうか。

「なに見てんだよ。」

ボーっと葵の顔を見つめていた私に、葵が言った。

「え、あ…いや、なんか美味しそうに食べてくれてるから…。」

「うまくねえし。」

そう言いつつも、食べる手を止めない葵が凄く可愛い。

きっと、葵のところに来るお客さんは、みんな葵のこうゆうところに惹かれるんだろう。

葵はお客さんにも、同じ態度。

ホストだからそれはしょうがない。

肉体的な経験も豊富だし、女の人の扱いにも慣れている。

しょうがないのに…。

それなのに、なんでこんなに胸が痛いんだろう。


< 41 / 54 >

この作品をシェア

pagetop