ホストの貴方
「そ、そうなんだ。」
「だから、俺、お前のこと知ってた。先輩が色々話してたの聞いてたから。」
「そうなんだ…それで、なに?ウチ、もう優哉とは別れたから。」
「あっそ。」
「んで?」
「んで?じゃねえよ。」
私は何か凄く嫌な予感がした。本当は葵がソレを言う前に、止めれば良かった…のに、止めれなかった。
「え?」
「そいつがレイプした。」
「なんのこと?」
「奈緒を。」
そして、嫌な予感は的中して、私の背筋がゾクッとしたのが分かった。
『なんで、茜にそんなこと言うの?』そう言って飛び出したかったのに、足が動かなかった。
「え…待って?どうゆう…。」
「優哉が奈緒をレイプした。多分殴られた仕返しで。」
それを聞いた奈緒の顔が真っ青になっていくのが私にも分かった。
「だって、奈緒、そんなことウチに一度も言わなかった。」
「言えるわけねーだろ。」
「どうしよ。」
そう言ってる茜に、葵は残酷な程、キツい言葉を叩きつけた。
「どうしよ?どうしようもなにも、お前が奈緒を巻き込んで、奈緒を傷付けたには変わり無いだろ。中にまで射されて。」
そして、私の目から、涙が溢れ出た。