ホストの貴方
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放課後、私は図書室に本を返そうと、図書室に向かった。
「ねぇ、ねぇ!奈緒!」
「ん?どうしたの?」
そこには、茜が息を切らしながら、眉間にシワを寄せて突っ立っていた。
「奈緒!どうしよう!?」
「え?」
「優哉が…。」
優哉とは、茜が一年も前から付き合っている彼氏の事で、話を聞くと、どうやら彼が浮気をしているのを見てしまったらしい。
「そっか、それで優哉は?」
「女の人とラブホに…。」
気付けば茜は、涙を流しながらメイクをくしゃくしゃにして話していた。
確信犯。
男って、ホント最低。
「大丈夫だって、私も一緒に行ってあげるから、優哉に話聞こう?」
「うん、今電話してみる。」
茜はポケットから携帯電話を取り出し、登録してあるその名前を見て言った。
「よく見るとチャラそうな名前。」
そして、私が返事をする時間を与えず、そのボタンを力強く押した。
プルルルルルッと言う音が、茜の携帯電話から微かに聞こえる。
「…もしもし?優哉?」
「今から会える?」
「うん、じゃ…駅前のスタバで。」
茜は、涙をこらえながら、壊れるぐらい大きく携帯電話をたたんだ。
「ごめんね…奈緒…ありがとう。」
「気にすんなって。」
私は、茜の頭を撫でながら言った。