[短編]彩華
紅珠郎が来ると、事は早急だった。
個室で出迎えて、挨拶を済ませると、あっという間に組み伏せられて、口付けられて、下を捲られて、欲を煽られて、挿入。
(情緒も糞もあったもんじゃねぇな。珍しい。)
一瞬、そんな思いが頭を掠めたが鉄具を筆頭に、紅珠郎の雄が内を割り開いて行く感覚と、その快感に、すぐに意識は持って行かれた。
彼が、私と交わる為に作ってくれた鉄の防具。紅珠郎の子を、授からない為の、道具。
後で出して清め、何度も使う。
何度も、何度も。
「はぁ…っ、」
息が乱れる。耳元から注がれる紅珠郎の熱い吐息に、背中がぶるりと震えた。
もどかしい。悶えて、思わず、眼前に聳える肩口に、噛み付いた。見計らったように、紅珠郎の槍捌きが鋭くなる。
「あぁ…──っ、」
快楽が過ぎる。直ぐに、視界は涙で霞み始めた。
(遊女が聞いて呆れる。野郎に良い様にされるなんて、)
思ったところで、色熱に狂わされた躰は最早言うことなんて聞きやしない。
昇る。
快楽の螺旋を、上り詰める。
後は、背をしならせ息を詰めて、
果てるだけ。