― 君 色 星 ―
「どうせ隣の部屋なら、ちょっとぐらいおったってかまへんやろ?なあ、その筒、何なんか教えてや」
「ああ…、これ?」
ソイツは筒の中から視線を外し、うちの顔をジロリと見た後、おずおずと筒を指差した。
「そ。それや」
うちもニンマリしながら筒を指差した。
「…天体望遠鏡だけど」
「てっ、天体望遠鏡!?」
なんで、一人暮らし用のマンションにこんなんがあるんや!?
「デカそうやな。高いんちゃうん!?」
外の寒さよりも驚きの方が勝ってしもて、うちがベランダに出てその天体望遠鏡を触ろうとしたら…
「触るな!!」
ソイツにうちの右手がはたかれた。