― 君 色 星 ―
「せやけど…」
それでもうちが反撃しよう思たら、うちよりも強い口調で三浦和彦が言うてきた。
「確かに君が思っているより、この天体望遠鏡は値が張ると思うよ。君、大阪の人?大阪は何でも最初は値段なんだな…」
メガネの奥の黒い瞳が光る。
なんや、ここが東京やからって、大阪人馬鹿にしよって…!!
「やかましいわっ!!どうせそこらの女ののぞきしとんとちゃうん?確かにうちは東野香織(ひがしの・かおり)、大阪生まれ、大阪育ちのハタチやけど、三浦!!アンタよりは常識あるわ!理由もなく手ぇはたくってどないやねん!?」