― 君 色 星 ―





「カズくん、ごめんな。うちのために。うちがこんなんやから、カズくんにまで迷惑かけてしもた…」





後ろから、香織の涙声が聞こえてきた。





「香織が謝るな。これは俺が勝手にやったことだ」





俺が口早に返事すると、意識を失っていたはずのアイツがもぞもぞと動き出した。






「……っ痛ぅーー。あなた、俺を、、、殴りましたね?」





殴られた左頬を左手で押さえながら、ヤツは俺達の方を見上げてきた。





長い前髪の隙間からのぞいたその瞳は、憎しみであふれていた。






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