― 君 色 星 ―
「そっか。フォローしてくれて、ありがとな」
それきり、香織は電話の内容については何も話さず、自分の身なりを整え始めた。
「おい。…何か、あったのか…?」
俺は強引に香織の左腕を掴んで聞き出そうとした。
けど。
俺に香織の家族のことなんて、聞く権利があるのか…?
いくらなんでも香織のプライベートに立ち入り過ぎなんじゃないのか…?
そんな考えがよぎったが、香織はゆっくり、俺に掴まれた手を外しながらこう言った。
「…うちな、あんな家族から逃げたくて、上京したんや」
「え…?」