― 君 色 星 ―





「大切な、もの……ですか?」





玲子さんの話を聞く度、ますます意味が分からんなるのは、うちだけやろか…?





すると、玲子さんは側にあった灰皿で煙草の灰をトントンと落として、ゆっくりうちに説明を始めた。





「最近は例外も多いみたいだけど、キャバクラに働きに来る人って、自分の軸…というか、大切なものが定まってない人が大半なんだよね」





玲子さんはまた煙草を吸い、白い煙と共に自分の息を吐き出した。





「だから、自分を多少犠牲にしても平気なんだよね。もっと激しく身体を売るような仕事に就いてる女は、たぶん完全に自分を見失ってんだろうね。そういうのは見てて分かる」





私もこの世界長いから、と玲子さんは付け足して、足を組み直した。






< 180 / 328 >

この作品をシェア

pagetop