― 君 色 星 ―
「でも…、華霞はさ、この世界から足を洗うってことは、大切なものを見つけたんでしょ?自分を犠牲にするのは止めよう…って、思ったんでしょ?」
「え…?」
うちはただ、ショウのお店のツケを返すためにキャバクラの世界に飛び込んだ。
そして、ツケを返す必要が無くなった。
だから今日、この店を辞める。
ただ、それだけ―――。
うちがただ玲子さんの煙草から立ち上る煙をボーっと眺めていたら、いきなり玲子さんがうちの肩をポンポンと叩いてきた。
「気付いてないんだ?でもきっと、そのうち気付くわよ。私はね、きっと永遠に大切なものなんてできないと思うから、華霞がうらやましいわ」