― 君 色 星 ―








そしてベランダに通され、今の状況に至るっちゅうわけ。





凍える風がうちとカズくんの顔を直撃する。





よく見るとカズくんは厚手のジャンパーを羽織っとったけど、手は望遠鏡をいじるためか、何もはめてなくて、指先が赤くなっとった。





うちもコートのままベランダに突っ立っとった。





北風の寒さに耐えきれなくて、思わずコートの襟を立てたけど、カズくんは………、寒いん、平気なんやろか?










「うち、小学生の時にお母ちゃんが死んだ、言うたやろ?その時、ごっつい寂しくて、毎日泣いとった」





相変わらず視線が天体望遠鏡の中にあるカズくんは、ただ相づちを打つだけやった。






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