― 君 色 星 ―
「でも、想いを伝えることはせぇへんかった。その後、お父ちゃんがあの女と結婚して、妹ができた時も、ケン兄ちゃんだけは変わらずうちに構ってくれた」
カズくんの相づちが止まっても、望遠鏡をいじる手先の動きは止まることがなかった。
「うち、この想いを伝えたら、関係が壊れるのが怖かったんやろな。もしフラらてしもたら、ホンマにうちに構ってくれる人がおらんなる」
不意に気になった。
今日、カズくんはどんな星を探しとるんか――。
今はどうでもええことやのにな。