― 君 色 星 ―
香織は少しうつむいて、それからまたゆっくりと話し始めた。
「ホンマ、たまげたわ。まさかうちがケン兄ちゃんに惚れ始めたぐらいから付き合っとる人がおったとはな」
それから。
家族から充分な愛情を受けられず、そんな足りない愛情を補足していた中村さんまでもが香織の恋心を裏切る形で結婚をし、大阪にいる意味すらも失った香織は、大学進学と同時に上京することを決意。
死ぬ気で勉強して、親と中村さんの反対を押し切りうちの大学に入学した。
でも、一人きりの生活があまりにも寂しくて、夜も眠れぬ日が続き……
深夜に繁華街をぶらついていたところ、先日別れた香織の彼氏・翔に出会った。