― 君 色 星 ―
「いえ。あの…、香織さん、そちらには帰らないそうです」
『え…?』
俺の言葉を聞いた香織も俺の方を凝視してきた。
「話を聞くところ、香織さん、あなたのことも家族のことも信用している様子はありません」
電話の相手は驚いたらしく、相づちを打つことすら忘れているようだった。
「だから、香織さんに誠意を見せてあげて下さい」
『え……、俺、どないしたらええん…?』
俺の少し強い口調に驚いた相手は声を絞り出すように尋ねてきた。