― 君 色 星 ―
「はい」
俺は一言返事をして、その男の顔の方に視線を向けた。
仕事をバリバリこなすビジネスマンという感じの、爽やかな青年の風貌。
丁寧にセットされた黒い髪の毛が、冷たい風にさらさらとなびいていた。
「ここ、東野さんのお宅、ですよね?」
男は香織の部屋のドアを指差しながら、関西弁のイントネーションで俺に尋ねてきた。
その瞬間、俺は確信した。
…この人、中村さんだ。
電話で聞いた声とこの関西弁。
絶対間違いない。