― 君 色 星 ―
「こんな『お礼』なら、いらない」
俺は少し力を無くした彼女の手首から自分の両手を離して、とりあえず下着とズボンを上げ、まっすぐ彼女を見つめた。
「…彼女でもおる?」
「いや、そうじゃなくて……」
この女、考え方自体がおかしいんじゃないのか?
今日、初めて会ったばかりなのに、『お礼』と言いながら身体を重ねてこようとするなんて…。
「おらんのやったらええやんか」
「東野さん…だっけ?その……セックスってのは、お礼の道具じゃないだろ?普通、愛を確かめ合ったりとか、そういう目的でするものじゃないのか?」