― 君 色 星 ―
そして、中村さんは薄茶色のコーヒーを一口飲んだ。
「香織の気持ちに応えられんでごめん。でも俺ずっと香織を実の妹や思てるから、家族のこと、俺と乗り越えていこう……って」
その時。
俺の部屋のチャイムが鳴った。
壁時計の時刻を見ると、8時半手前だった。
「あ、香織さんですかね。少し待っていてください」
俺は中村さんにこう告げて、玄関先に向かった。
少し重い玄関のドアをゆっくり開ける。
すると、香織が小さなレジ袋を持って俺の前に現れた。