― 君 色 星 ―
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ケン兄ちゃんと実家の門をくぐった。
うちが高校卒業して以来やから、この家ももう2年近く見てなかったんやな。
「姉ちゃん、ただいま〜」
いきなり玄関先で妹の真里に迎えられた。
「真里ちゃん、それゆうなら『お帰り』やろ?自分が帰ってきたら『ただいま』やで?」
ケン兄ちゃんは話通り、真里と仲良くしてくれとるみたいやった。
身をかがめて真里の目線に自分の笑顔をもっていき、優しく真里の頭をなでる姿は、ほんまもんの兄ちゃんみたいやった。
「…香織ちゃん、お帰りなさい」
その後ろから、控え目に現れたあの女。
うちから見た感じ、オドオドした感じは変わってなさそうやった。