― 君 色 星 ―
なんだよ…
『至急』とか書いてるから、慌てて来たのに…。
仕方なく俺は、椅子の上に無造作に並べられた教授の所有物であろう分厚い本を軽く整理しながらどかして、そこに座った。
「いやあ、悪いね。どうも私は、整理整頓が苦手みたいでな…」
…それはもはや、学部内では有名な話なんだけど。
俺は教授に分からないように軽くため息をついて、俺の前に差し出された紙コップのコーヒーを、ブラックのまま一口飲んだ。
「じゃあ、本題に入らせてもらうよ」
教授は軽く咳払いをして、俺に一枚の紙を見せた。
「三浦君。君、語学留学を希望していただろう?」
「え?あ…はい」