― 君 色 星 ―





「うちがな、カズくんに出会った日に言うた言葉、覚えとる?」





俺の身体にすっぽり包まれていた香織が、ゆっくりと俺の顔を見上げてきた。





どうやら、ちゃんと泣き止んでくれたようだ。





「…え?」





俺が香織に出会った日?





確か、香織が間違えて俺の部屋にやってきたんだよな。





あの時、香織は――?








「この世に愛なんか無い、言うたんや」






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