― 君 色 星 ―





「うち、カズくんがアメリカ行くっちゅうんなら、無理に止めん。さっきは取り乱してしもてごめんな」





香織は力なく俺にそう言った。





「香織…」





でも



俺が望んだことなのに、なんでこんなにも胸が苦しいのだろう?






「カズくんの夢は、うちの夢や」



「……まるでジャイアンだな」





お前の物は、俺の物…ってか?





ふふっと笑った香織は、両腕を伸ばして俺の身体から離れた。





「カズくんの夢が叶うこと、いつも願っとるから」





香織は穏やかな笑顔で俺にそう言った後、俺の部屋から出て行った。








甘い香りだけを俺のふところに残して―――。














< 300 / 328 >

この作品をシェア

pagetop