― 君 色 星 ―
「うち、カズくんがアメリカ行くっちゅうんなら、無理に止めん。さっきは取り乱してしもてごめんな」
香織は力なく俺にそう言った。
「香織…」
でも
俺が望んだことなのに、なんでこんなにも胸が苦しいのだろう?
「カズくんの夢は、うちの夢や」
「……まるでジャイアンだな」
お前の物は、俺の物…ってか?
ふふっと笑った香織は、両腕を伸ばして俺の身体から離れた。
「カズくんの夢が叶うこと、いつも願っとるから」
香織は穏やかな笑顔で俺にそう言った後、俺の部屋から出て行った。
甘い香りだけを俺のふところに残して―――。