― 君 色 星 ―





だから、留学を決めたことと出発する日は告げずに渡米しようかと思っていたのに、どうやら徹司にそのことを無理矢理吐かせたらしい香織は、出発の前日に俺を呼び出した。







当然俺は既にマンションの部屋を引き払っているから、香織の部屋で話すこととなった訳だ。







「……しばらく、カズくんには会えんなるんやな」



「そうだな」





さっきまでのバカ騒ぎの雰囲気から一転、急に湿っぽい空気になった。





「うちな、最後やし、一つだけ言うてもかまん?」





少しだけ頬を赤くした香織が、パッと俺の方に顔を向けた。





「…うん。何?」






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