― 君 色 星 ―
うちは電話口に向かって思いっきりため息を吹きかけた。
そして…
「ケン兄ちゃん、勤務中やろ?貴重な時間、うちのために使わんと、奥さんと子供のためにちゃんと働いて。ほなな」
うちは早口でそれだけ言うて、電話を切った。
そのついでに電話の電源も切った。
こんなセリフ、もう聞き飽きたわ。
自己満足したいだけやんか。
また携帯をベッドの上に投げ捨てて、うちは昼からの講義のテキストをバッグに入れ始めた。